松本市制100周年記念 2007MHC登山講習 
  紅葉の涸沢・奥又白を行く報告 
2007.9.29〜9.30 実施報告
9月29日AM6:00松本から参加者25名が、5台の車に乗り合わせ出発。沢渡で4名を加え、総勢29名がタクシーに乗り変え、上高地へ向かう。AM8:00準備を整え、上高地から登山を開始する。上空は曇天模様。晩夏を思わせる緑色に覆われた梓川左岸の林道を歩く。それでも、オオカメノキやコナシの木には赤い実が実り、秋の気配を感じさせる。明神、徳沢を経てAM11:10横尾到着、早めの昼食を摂る。
梓川左岸の林道を歩く 明神の赤い実をつけたコナシ 横尾から望む前穂高岳
AM11:40横尾出発。梓川に架かる木橋を渡り、河原沿いの砂利道を進む。左手に屏風岩の大障壁が迫り、霧に見え隠れする岩峰に息を呑む。森林帯の山腹を巻く登山道を進み、PM12:50本谷に到着。小休止して、いよいよ急坂の岩道を登り始める。1時間ほど登り続けると、低木帯が広がり、穂高の屹立した峰々と吊尾根が間近に望まれ、その懐下部に、涸沢のテント場と涸沢ヒュッテの赤い屋根が望まれる。
迫る屏風岩の大障壁 急坂の岩道を登る 奥穂高岳の峰と涸沢テント場
登山道脇にアキノキリンソウ、シシウドが生え、実をつけたナナカマドが茂る小高い丘の岩道を登り詰めると、PM3:00涸沢ヒュッテに到着、泊する。宿泊者大人数の為、ヒュッテのはからいで、私達は本館から100m離れたテント場上部の別棟に全員泊まる事とする。
紅葉したチングルマ シシウド 赤い実をつけたナナカマド ヒュッテ下部の石段を登る
一息ついて夕食時間までの間、全員屋外に出て、親睦交流を深めながら景観を楽しむ。霧雲がたなびき、穂高の岩峰が見え隠れする。取り囲む峰々の中央に、涸沢槍が屹立して聳え立ち、その脇の穂高岳へ登るザイテングラードの岩尾根周辺の草地は、橙色に輝いている。その景観に接して、ようやく秋色の涸沢に出会うことが出来た。
屋外での親睦交流
涸沢から望む、屹立した涸沢槍と穂高の峰々 山口社長から山談話を聞く
ヒュッテ本館内での夕食後、山口孝社長から「涸沢の素晴らしさと安易な登山への戒め」についての山談話を伺う。お土産に山岳写真家近藤辰郎さんの写真を各人に一枚づつ頂く。山を想い、登山者を気遣う、山口さんの山男の心意気とやさしさを感じさせてくれた談話だった。
消灯まで有志が一角に集まり、涸沢特製ワインを酌み交わす。見上げる夜空には星が瞬き、月も昇りはじめ、屏風ノ頭付近にたなびく雲が明るく照らされている。涸沢の夜空に私達の笑い声と唄声が響いた。
  
30日夜明け前、屋根の庇から流れ落ちる雨音で目を覚ます。AM5:30朝食を摂り、しばらく雨足の様子を見る。AM7:30雨本降りの中、天候回復を諦めて、気遣う山口社長に別れを告げ、パノラマコースから屏風のコルへ向かう。前穂高岳北尾根末端の山腹をトラバース気味に進む。岩稜を攀じり、急斜面の岩礫帯を横切ること小一時間、徐々に緩やかとなる傾斜の登山道を登り切ると、前穂高北尾根稜線に登り出る。AM8:40屏風コルに到着。
雨に煙る涸沢 パノラマコースを進む 登山口へ下山、ほっと安堵する
雨が降り続ける視界30m〜50mの中、当初目的の屏風ノ耳に登る事を諦め、AM9:00下山開始。涸沢側とは様相が一変し、花崗岩の砂礫道を下る。途中堆積した岩石道に注意して降り、慶応尾根を乗り越え、奥又白池への分岐を経て、AM11:30登山口へ辿り着く。悪路から開放され、ほっと安堵の笑顔がほころぶ。
PM12:00徳沢ロッヂ着。ここで大休止。熱いお茶を出してもらい、昼食とする。濡れた衣類を着替え、元気を取り戻してPM1:00出発。明神を経て、PM2:40上高地バスターミナルへ到着。全員タクシーに乗り、沢渡へ向かう。PM3:30沢渡で加わった4名と別れ、25名は5台の車に乗り合わせ、PM4:30松本県合同庁舎駐車場に到着、解散とする。